挿し木床は挿し木後成苗になるまで(一年苗で九ヶ月、二年苗で二〇ヶ月)の育苗期間中に用いられるもので、用いる床土は排水・保水ともに良く、通気性も優れ、線虫や病原菌がないことが必要である。それには振るった赤土が適宜である。十分な殺菌処理をすれば、普通の畑土壌でも良い。また、挿し木後には日よけが必要で、床を覆う日よけの骨組みや被覆材(透過率三〇〜四十五%内外)などを用意しておく。床幅は九〇センチくらい床高は一〇センチ程度が良い。
挿し穂の調整
春から生育した芽を摘まず、そのまま成長させた枝を切り挿し穂を採る。挿し穂は一般的に一本の枝から1〜3本取るが、二枚の葉を付けたものを調整する。切り方は下の葉から三から四センチ下で枝を斜め四十五度切り取り上方は上の葉から五ミリくらいで垂直に切る。未熟な部分は使用しないようにする。
苗の繁殖方法
チャの種子は自家不和合性であるため、自然に結実する種子は他家受精によったものとなる。それらは遺伝的に雑ぱくであるから、発芽しても一株として遺伝的に全く同じものはない。茶園の合理的管理には不揃いの株であると支障が生じ、品質にも影響が出るため種子による繁殖は好ましくない。そこで、均一な形質の株をもって造園するには茶品種の一部を用いて苗木をつくる栄養繁殖が好ましく、明治末期より取り木による繁殖法、昭和初期には挿し木技術の実用化され普及されている。
カンザワハダニ
葉の裏に寄生し、養分を吸う。成葉の場合は、加害された部分を中心に黄化し、被害が激しい場合には落葉することもある。
新葉の場合は、黄化、褐変して部分的に枯死する。
主な増殖期間は、3月下旬~4月上旬、5月中旬~6月中旬、8月下旬~9月下旬。