新葉が四枚程度となったとき、先に『よしず』をかけた場合は、そのうえに稲藁を振り広げ、さらに棚の側面も『こも』や『むしろ』などを垂らして覆い、棚の内部の遮光率を95%〜98%程度の真っ暗な状態にして、その後役一〇日間内外被覆遮光を続けたのち摘採する。化学繊維の被覆資材を用いた場合も、後半の一〇日間内外は二重に被覆を重ねるなどして、また側面にも化学繊維を垂らして棚の内部の遮光率を下げる。
遮光方法(前半)
覆い下園では一番茶のみの摘採を行うが、遮光は一番茶の新芽が二枚程度開葉したときに開始し、遮光率(日光を遮る割合)は70%内外としている。これは『よしず』では一重、化学繊維やネットではこの遮光率のものを、まず棚の上部のみを被覆する。これを一〇日間続ける。
遮光資材
玉露・碾茶の原料生産のための茶園を覆い下園というが、最も重視される技術は、被覆による遮光技術である。被覆するために高さ1.8〜2.0mの、ほぼ恒久的または半恒久的な棚の骨組みが設置される。遮光用資材には、古くから『よしず』と『稲藁』や『こも』『むしろ』などが用いられてきたが、近年では化学繊維などの開発がすすみ、一方では天然資材の入手困難、天然資材の手間や資材の格納場所の点からも、新資材の活用が多くみられる。
覆い下園の茶
緑茶の中でも、最も高価なのは玉露であり、抹茶である。その高価な理由として原料生産コストの破格に高額であること、単位面積当たりの生産量が少ない事(年一回摘採)があげられる。
土壌改良その他
新規の茶園の造成時と同様に処理するが、改植を機として、区画、地形の修正、排水改良など考慮の要があり、また長年茶園として用いられた土壌は、強い酸性となっている例が多いため、酸性度矯正を適正に行う。
抜根後の根部処理
ユンボなどで抜根した後は根部を圃場に一ヶ月程圃場に放置させ、これらに苦土石灰または石灰窒素を10aあたり二〇〇kg内外を散布して、土壌と混ぜ合わせ還元する方法の他、堀り出された根や細断された地上部を焼却し、灰を圃場に分散してまくことも行われる。
チャの地上部切断と抜根
改植にあたっては、まず現在まで生育してきたチャを、完全に除去する事からはじめる。トラクターにロータリーカッターをつけてチャの地上部を切断し、根はプラウで細断する方法が一般的で、10aあたり約四時間で処理される。切断された地上部や根の拾い出しに若干の手間を要するものの、ユンボで深さ1m程度まで耕耘することを含めて、10aあたり一・五〜二日ですべて終わる。
茶園の改植
チャの一期の寿命は、三〇年〜三五年内外とみなされる。しかし実際にはチャは地上部に対する更新処理により、若返らせて幾度も生産を続ける事ができるから、造園以来五〇〜一〇〇年以上を経ても、なお健在な実生園も存在する。しかし、実生園を品種園に導入するとか、生産性の向上の為整地するなどの必要が生じた場合、思い切って抜根して、同時に土壌改良し、改植する。
更新の実施時期
更新実施後は、再生枝の生育をできるだけ良好にすることが望ましく、このため、せん枝の時期は早い程好ましく、三月頃がもっとも良い。しかし、生産面からいうとその年の一番茶を刈り取った後が良く、摘採直後が理想である。二番茶摘採後の台切りや中切りは温暖地でも回復を遅らせるので良くない。北限地付近では、深刈り以上の強い刈り込みは、二番茶後には行わないのが原則である。
台切り
地際から、または地上10cm内外で太い幹を切る。極度に低下した樹勢の回復や老齢化に対する若返り、冬の気象災害の大被害後の対策として行われる。肩掛け式の仮払い機やロータリーカッターなどの機械力を利用する。回復にもっとも長年月を要し、更新後の好条件が保たれても最低5〜6年以上かかる。