成木園では、地上から30〜50cmの高さで切る。幼木では少なくとも樹高の半分または1/3以上を除去する場合をいってよい。切断される枝の切り口は7mm内外である。大きな冬季気象災害の事後対策や、老齢化に対する若返り対策に行われ、普通はせん枝機または中切り機で行われる。温暖地では更新後2年くらいで収量は90%程度まで回復し、北限では3〜4年でほぼ回復する。
深刈り
摘採面から下へ10〜20cm深くまで刈りこむもので、古葉はほとんど失われる。せん枝される枝の下部切り口の径は3〜5mm内外。樹体高さの調整や枝数増加抑制、冬などの気象災害の事後対策、また芽数・芽重の改善に行われる。普通はせん枝機を利用する。浅刈りより処理後の回復経過が遅れるが、一番茶後に実施すると、翌年の一番茶から摘採出来る。地方差はあるが、更新後1〜2年で回復する。
浅刈り
摘採面から下へ3〜5cmの1〜2年生枝を刈り払う。古葉は若干残る。枝数の極度の増加の改善による良芽生産の目的で行われ、せん枝鋏やせん枝機を利用する。次茶期にはやや遅れても摘採できる。
更新の目的
(1)茶園での摘採その他諸作業が行いやすいようにチャ株面を適正な高さに抑える。(2)表層の枝数の極度の増加により、芽数増、新芽の細小化や生育不振を生じた場合の改善。(3)冬期の気象災害(胴枯れや青枯れ)による枯死枝葉の除去。(4)老化による生産力の低下の改善。
茶園の更新
杉やひのき、その他多くの林木は、いったん伐採すると改めて新しい苗木を植え付けて造林を再開する。切り株から再生した枝葉が再び次代の林木まで揃って育つということはない。チャはその特性として極めて強い再生力が認められており、老化または何らかの障害後に地際から地上部全体を刈り払ってしまっても、再び再生枝葉が生育して数年後にはまた見事な樹冠を形成する。この再生力を利用して茶園は種々の段階で刈り下げを行い、株を若返らせ再利用をはかる。
葉層の厚さ
枝の先端から下方にかけて、何枚かの葉のついてる厚さ(深さ)を葉層というが、秋または春の整枝時から翌春までの間に、整枝面から内方に向かって最下腋の葉までの深さが一〇cm内外はあることが好ましく、四・五cm以下では生産性も低下する。
葉色の診断
新葉色が極度に黄味を帯びたり、淡緑色になったり、また斑紋を生じてきた場合は、施肥量の見直しや微量要素の欠乏の有無を調査する。新葉色も成葉色も、品種の特性によるところが大きい。
各茶期の新芽生育状況
一番茶期の新芽葉、平均して五日毎に一枚ずつ開葉を増していき、良芽で五〜六枚くらい、小さい芽では二枚くらい開葉すると出開きになる。芽の長さは平均して一日当たり三〜四mm内外ずつ伸長し、伸育旺盛な時期には一日平均約一cmも伸長する。二番茶期以降の新芽の開葉数は、一番茶期よりも少なめであるが、各茶期なりに健全な新芽の生育がみられなければならない。
樹勢の診断
樹勢の判定は肉眼観察で行われる。新芽の生育状況、枝の伸長、成葉の大きさや色沢、葉層の厚さ、幼木期は樹体の大きさなど総合的に判断する。客観的な評価を下すまでには熟練を要する。
摘採面積率
摘採面積(摘採面幅×畝長)を圃場面積でワルか、摘採面幅を畝幅で割るかして求められるが、一般には摘採面積率は一〇〇%くらいにするのが理想的とされている。