定植直後から成園になるまでの幼木期は、成木に比べて施肥量は少なくて良い。初年度は十五%程度、二年目は五〇%程度、三年目は六〇%程度、四年目七十〜九〇%程度、五年目からは八〇〜一〇〇%である。また施肥一は定植当年から二年目頃には株元から三〇センチほど離して施肥し、三〜四年目になり、根の分布が畝間に全面に広がってからは畝間全面に均一に施用する。いずれも施肥後は土壌と混合する為、必ず耕耘する。
九州地方の施肥回数
鹿児島付近では春肥一回目二月中旬、二回目三月上旬、夏肥は一・二・三番茶摘採後の三回、秋肥一回目九月上・中旬、二回目十月上・中旬の七回。さらに芽だし肥(摘採日二〇日前)を加えると八回となっている。
中部地区の施肥回数
静岡付近では春肥は三月上旬、芽出し肥は三月下旬〜四月上旬、夏肥は一回目五月下旬、二回目七月上旬、秋肥一回目八月中下旬、二回目九月中旬の計六回程度。
北限付近での施肥回数
埼玉付近では春肥は三月中旬、芽出し肥は四月上旬、夏肥六月上旬、秋肥八月下旬〜九月上旬の四回程度。
施肥時期
窒素、リン酸、カリの三要素中窒素は溶脱しやすいが、リン酸は土壌に固定され、カリは交換性カリとして土壌に保持される。チャは窒素の大部分を四〜十一月、リン酸は四〜六月と九月に集中的に、カリは四〜十一月に吸収するとされる。したがって、窒素は年数回に分施し、リン酸は春秋に二回に分施し、カリは二〜三回に分施するようになっている。
覆下園の施肥傾向
玉露や碾茶の生産を目的とする覆下園での施肥量は、(1)年一回限りの極上品質の新芽の生産、(2)長期にわたる強い遮光による樹勢の衰えの回復、(3)毎年摘採後、地上三〇センチくらいを残して刈り、秋までに枝葉を十分に生育させて樹量を回復させるという一般園とは異なるねらいから、昔から一般園に比べて著しい多肥傾向がみられ、施肥の分施回数も多く、肥料の質も有機質がより多く用いられている。
施肥量
本来施肥のねらいは、多収と良質化にある。施肥を全くしないとか極度の少肥を継続すると、収量とくに二番茶以降の茶期の収量のかなりの減少がみられるようになるが、施肥料増加による収量増加は、ほぼある限界をもって横ばいになってくる。しかし一方で新芽葉中の全窒素含有率は、この増収限界以上の窒素多用によってわずかながら上昇の傾向が認められている。
除草方法
一年の中でも、四〜十月にかけての雑草生育が著しく、とくに夏期はよく生える。草かきくわで土壌表層をかいたり、畝間に黒色フィルムや稲藁などひいて、雑草の発芽・生育を抑えたり、小型耕耘機に浅耕用の部品をつけて、浅耕除草などする。幼木は株元の草をていねいに手除草する。
除草
茶園に発生する雑草は、約五〇科二〇〇種類にも及び、一年生、二年生、多年生があり、中でも強害をもたらすものは約三〇種類とされている。また、多年生雑草が約半分にもおよび、普通畑よりも多い。成木園になれば畝間も狭くなりほとんど雑草の繁茂は抑えられるが、幼木期間はチャの樹体も小さく、畝間が広くあいているので、雑草が繁茂し株元にも雑草が生育する。株元近くに雑草が茂ると、チャとの間に養水分の吸収競合が生じたり、草種によってはチャに絡み付くものもあるので、幼木期には除草を怠らないようにする。
耕耘(中耕)
施肥後は肥料と土壌を混和するために、多くの根を切らないように、深さ約一〇センチ程度まで耕耘する。深さ三〇cmくらいを目安とする深耕は、八月下旬から九月上旬頃に限定して一年に一回行う。深耕は表層から根域の土壌を柔かくほぐし、通気性を高める為と、団粒化を図る為に行う。同時に地下に形成された硬盤を破砕して、透水を良くする。