油かすや魚粉などが一般的である。茶園では使用量が特に多い。茶品質向上に役立つとされる半面、購入金額が高いのが難点。秋には完熟した堆きゅう肥を一〇aあたり少なくとも一トン以上を畝間に深くすきこむのが普通である。

硫酸カリか塩化カリが用いられるが、前者の方がより多い。

重焼リン、溶性リン肥、過リン酸石灰などが用いられる。

硫安・硝安・尿素・石灰窒素のほか、緩効性のIB,CDU化成、被覆尿素などが各々の特性に合わせて用いられる。

定植直後から成園になるまでの幼木期は、成木に比べて施肥量は少なくて良い。初年度は十五％程度、二年目は五〇％程度、三年目は六〇％程度、四年目七十〜九〇％程度、五年目からは八〇〜一〇〇％である。また施肥一は定植当年から二年目頃には株元から三〇センチほど離して施肥し、三〜四年目になり、根の分布が畝間に全面に広がってからは畝間全面に均一に施用する。いずれも施肥後は土壌と混合する為、必ず耕耘する。

鹿児島付近では春肥一回目二月中旬、二回目三月上旬、夏肥は一・二・三番茶摘採後の三回、秋肥一回目九月上・中旬、二回目十月上・中旬の七回。さらに芽だし肥（摘採日二〇日前）を加えると八回となっている。

静岡付近では春肥は三月上旬、芽出し肥は三月下旬〜四月上旬、夏肥は一回目五月下旬、二回目七月上旬、秋肥一回目八月中下旬、二回目九月中旬の計六回程度。

埼玉付近では春肥は三月中旬、芽出し肥は四月上旬、夏肥六月上旬、秋肥八月下旬〜九月上旬の四回程度。

窒素、リン酸、カリの三要素中窒素は溶脱しやすいが、リン酸は土壌に固定され、カリは交換性カリとして土壌に保持される。チャは窒素の大部分を四〜十一月、リン酸は四〜六月と九月に集中的に、カリは四〜十一月に吸収するとされる。したがって、窒素は年数回に分施し、リン酸は春秋に二回に分施し、カリは二〜三回に分施するようになっている。

玉露や碾茶の生産を目的とする覆下園での施肥量は、(1)年一回限りの極上品質の新芽の生産、(2)長期にわたる強い遮光による樹勢の衰えの回復、(3)毎年摘採後、地上三〇センチくらいを残して刈り、秋までに枝葉を十分に生育させて樹量を回復させるという一般園とは異なるねらいから、昔から一般園に比べて著しい多肥傾向がみられ、施肥の分施回数も多く、肥料の質も有機質がより多く用いられている。